076981 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Lee-Byung-hun addicted

Lee-Byung-hun addicted

超フクザツな三角関係 最終話

超フクザツな三角関係 最終話



「ビョンホンssi・・」

「ん?」

「ねぇ・・・ビョンホンssiてば」

その夜、揺はベッドの上で彼を呼んでいた。

肝心のビョンホンはベッドサイドのソファに腰を下ろし、
彼が表紙のシネ21を読みふけっている。

「ん?ちょっと待ってて・・」

「もう・・待てないよ。何で自分が答えたインタビューそんな熱心に読んでいるのよ・・」

ビョンホンの適当な返事に業を煮やした彼女は、
ベッドを飛び降りると彼のもとにやってきた。

雑誌を取り上げ、黒のセルフレームの眼鏡を取り去ってテーブルの上にそっと置いた。

「どうしたの?ビョンホンssi何だか変よ・・」

「別に変じゃないよ」

「・・・・何怒ってるの?」

「別に・・・」

「うそ。ほら、ちょっと口が拗ねてる・・・」

揺はそういうと彼の唇をまたつまんだ。

「別に怒ってないよ」

「・・・・・」

揺は何も言わず、彼の目をじっと見つめる。

そんな彼女と目があった彼はためらいがちに口を開いた。

「別に怒ってないけど・・・ずるいよ」

「え?ずるい?何が?」

揺は不思議そうに問い返した。

「その・・・それは・・・」

「まさかと思うけど・・・監督と一緒に映画観たからなんて言わないよね。」

「・・・・・・・・」

「信じられない・・・すっごい子供」

揺は呆れたように笑った。

「別にやきもちとかじゃないよ・・」

「そうよね。そもそも今日監督に会うようにってあなたが言い出したんだもの。やきもち妬くなんておかしいもん。」


「でも食事にも来ないで2人っきりで…」

「それはごめんね。でも、監督が気が進まなそうだったから・・。
それに、2人っきりってお母さま一緒じゃない」

「そりゃあ、そうだけど…監督あんなにご機嫌で…
俺といる時だってなかなかあんなに笑わないし・・・すっごい楽しそうでさ・・・」


「……ねぇ。ちょっと待って。
ビョンホンssi…あなた…一体誰にヤキモチ妬いてるの?
・・・・・あ~だから『私が』ずるいわけだ・・・」

揺は彼の言葉の意味をやっと理解した。

「えっ?」

何を言われているのか意味がわからない彼はそういったまま固まった。


「…信じられない…もう寝る」

急に不機嫌になる揺。

「揺…何?どうしたんだよ」

引き止める彼の手を振りほどいて彼女はベッドに潜り込んだ。

「おやすみ。今日は私は出ないから、せいぜい監督の夢でも見て」


「はぁ?・・おい・・・揺・・」

「もう・・知らない・・・」

「何だよ。どうしたんだってば・・ほら・・」

後ろからしがみつく彼を揺は何度も振り払う。

「ねえ、どうしたんだよ。」

彼はなだめるように揺を強引に抱きしめた。

「だって・・・あなた・・監督に嫉妬してたでしょ」

「え?」

「だからさ・・もう・・いいよ。邪魔者は私だから一人で寝ます」

「ちょっと・・何言ってるんだよ」

「だってそうじゃない。監督がいつもより楽しそうだった。ふたりで映画観てずるい。

俺だって監督の誕生日一緒に祝いたかったのに・・揺が俺の監督を取っちゃった・・・そう聞こえたよ」

揺は白い目で彼を見た。

「まさか・・」

「まさかじゃなくて本当に・・・なんで私じゃなくて監督に嫉妬するかな・・
ありえないよ」

揺は顔をしかめてそういうと口を尖らせた。

そんな揺の表情を眺めながら考える・・・・。

確かに仲良さそうに映画を観ている2人を見て、のけものになったような気がして…なんだか寂しく感じたのは本当だった。

もしここに監督がいたら間違いなく監督にも文句を言ってただろう。

そして目の前の揺は監督に嫉妬する俺に嫉妬しているらしい・・・。

何だか可笑しくなったビョンホンはゲラゲラと笑った。

「揺がようやくやきもち妬いてくれたか・・しかし・・相手が監督っていうのは笑えるな」

そういうとビョンホンは口の尖った揺を抱きしめた。

「ん?」けげんそうな揺。

「だって俺が監督を大切にしたのが気に入らないんだろ?
ファンにだってなかなかやきもちを妬かない揺が、まさか監督に嫉妬するとはね・・」

そういって揺の髪を撫でながら、彼はニヤニヤしている。

「監督に嫉妬?そんなこと・・・・・そんなこと・・・?」

揺はそういうとじっと考え込んだ。

「ん?」

彼は揺の表情を優しく覗き込む。

「まあ・・今日のことはともかく。」

真面目な表情の揺。

「相変わらず、負けず嫌いだな」彼は鼻で笑った。

「監督は・・あなたのこととってもよくわかってる。

私が知らないあなたをいっぱい知ってる。

あなたにも尊敬されて、信頼されて・・・

私はファンにはなれるけど、監督にはなれないもの。

監督がちょっと羨ましいよ・・・。

私もあなたと何か作れたら楽しいだろうな・・・

あなたたちが作る映画観ているとそう思うのは確かね・・」

「揺・・・」

「私・・何言ってるんだろ。なんでこんな話になっちゃったのかな・・

そもそもあなたがやきもちなんか妬くから・・・」

「もういいよ。わかった。

俺たちはとてもフクザツな三角関係だってことにしておこう。

監督も喜ぶよ。日常に刺激がないから。

・・・・じゃ、おれたちはまず・・手始めに子供でも作るか」

「もう・・・」

揺は恥ずかしそうにそういうと彼の胸を叩いた。

「揺・・・」

「ん?」

「お前がここに監督を連れてきてくれたこと・・凄く嬉しかった。

俺のこといつでも考えて、気にしてくれてるんだって・・・そう思ったよ。」

彼はそういうと揺をぎゅっと抱きしめた。

「あ・・それは・・・ごめん。
リージョンALLのDVDプレーヤーがあるの、ここしか思い当たらなかったからなんだけど・・・」

「信じられない・・・」

彼女の言葉に唖然としたビョンホンは彼女を抱きしめていた手をほどくと、
彼女に背中をむけ、シーツに包まった。

「うそうそ。本当はあなたのことだけ考えてたからだから・・

ね?ほら、サービスしとくから・・元気出して・・」

揺はそういうと彼の包まるシーツの中にもぐりこんだ。

            


「・・・・で、結局リージョンALLのDVDプレーヤー目当てだったみたいですよ」

数日後、ジウンはビョンホンの話を聞きながらゲラゲラと笑っていた。

「まあ・・女なんて実に現実的な動物で、男のロマンチシズムなんて理解できないんだろうね。

でも・・揺ちゃんの場合・・・字面通り受け取っていいのかというのは疑問だけど」

「どういう意味ですか?」

怪訝そうなビョンホン。

「お前はまだ浅いな・・。もしだよ。

そこで『私はあなたのことだけ考えてました~』なんて言ったらさ・・・

つまんないじゃん。

やっぱ男と女は駆け引きも必要だ。

もし、本当にDVDプレーヤーのことだけ考えてたら、

そんなこと言わないで黙ってるさ・・・実に興味深いね」

「なるほどね・・・監督、なんでそんなに女心に詳しいのに彼女できないんですかね」

「できないんじゃなくて面倒だから作らなかったんだよ。でもさ・・・」

「ん?なんですか?」

「おまえら見てると、ま、そういう関係も悪くないかなって・・・」

「いつでも、ダブルデート付き合いますから・・」

嬉しそうに言うビョンホン。

「お前は中学生のガキか・・」

呆れたように笑いながらまんざらでもなさそうなジウンだった。


           END





そしておまけ

「お前、中学生にしちゃ、いいベルトしてんじゃん」

「あ・・これ、いいでしょ?誕生日プレゼントにってファンがくれたんですよ。」

ビョンホンは自慢げにベルトを撫でた。

「それ、よこせよ。俺の誕生日プレゼントにしろ」

「え?ちゃんとあげたじゃないですか・・・
監督こそ中学生じゃないんだからカツアゲはやめてくださいよ」

「ちゃんとあげたって『もみじ饅頭』1箱じゃないかよ・・」

「買ってる暇なかったんだから仕方ないでしょ。
監督饅頭好きだし。ケーキだって夕飯だってご馳走したじゃないですか・・」

「お前、ケチだな~。お前がそんなけちな奴だとは知らなかった」

「ああ・・ケチですよ。事務所の従業員のボーナスだって払わなきゃいけないし、それなりに大変なんですから」

「お前はまたファンに買ってもらえ・・ほらはずせよ・・」

「やめてくださいよ・・。脱げるから・・わかりましたよ・・はずしますから・・待って・・
でも、監督『メタボ』だから入らないんじゃないですか?」

ビョンホンはそういうとニヤッと笑った。

「『メタボ』ってなんだよ」

「『メタボ』っていうのはですね・・今日本で流行ってるらしんですよ・・・・」

この後、メタボ談義に花が咲いた二人が、いそいそと連れ立ってジムに向かったのはいうまでもない。



© Rakuten Group, Inc.